佐藤大輔は凶悪な作家である。
読者の期待するものを与えそうで与えない。
この8巻は、クーデター開始の時期から始まるドラマである。「ああ、このクーデターはどうなってしまうのだろう」と読者を盛り上げたところで、急に話はクーデターの前に飛び、そこに至るドラマが語られて終わってしまう。つまり、主人公がいかにしてクーデターを収束させるのかという読者最大の興味への答えは与えられない。
それでいて、中身がスカスカで無い、ということはなく、興味深い話が延々と綴られている。だから、けして文句を佐藤大輔に叩き付けることができない。
実に凶悪である。
というわけで、9巻を至急書き上げることを求めるものである。